遺留分①-2 夫が愛人に全財産をあげてしまった・・・
ご相談内容
遺留分①-1 夫が愛人に全財産をあげてしまった・・・のつづきです。
大阪在住のAさんが事務所に来られて相談を受けました。
Aさんの夫が愛人に全財産を贈与(遺贈)してしまって困っています。Aさん家族はAさんと子供2人、このまま夫の愛人に全財産をとられてしまうのか?といことで、遺留分について前回①-1で説明しました。
次はいよいよ遺留分減殺請求です。
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- 遺留分減殺請求について説明して下さい。
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被相続人が遺贈または贈与をした結果、相続人が相続した財産の総額が自己の遺留分よりも不足する時は、遺留分権利者は、自己の具体的遺留分を保全するのに必要な限度で、被相続人が行った遺贈及び贈与の減殺を請求することができます。この権利のことを遺留分減殺請求権といいます。
遺留分権利者は遺留分減殺請求権を持つだけで、遺留分を侵害する遺贈や贈与が無効になる訳ではありません。
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- 遺留分減殺請求権はどのように行使するのですか?
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遺留分減殺請求を行使できるのは、遺留分を侵害された遺留分権利者とその承継人です。承継人とは遺留分権利者の相続人などの包括承継人だけでなく、売買などで取得した特定承継人も含むと解されています。
相手方は遺贈又は贈与を受けた受遺者又は受贈者で、その者が目的物を第三者に譲渡した場合は原則として価格弁償をする事になると思われます。
そして、遺留分減殺請求権の行使は、裁判上又は裁判外でもよく、受遺者あるいは受贈者に対する一方的な意思表示でよいとされています。具体的には内容証明郵便等で行うものと思われます。
とにかく、Aさんには子供の分も含めて遺留分減殺請求権を行使するように説明し、相手方がいう事をきかない場合は、訴訟を提起することを説明しました。
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- 遺留分減殺請求権に期間制限はありますか?
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短期の消滅時効にかかります。
相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があった事を知ってから1年で消滅します。
相続開始から10年が経過した時も消滅します。
1年間の方は時効期間、10年間の方は除斥期間と解されています。
Aさんは短期の消滅時効にかからないうちに、遺留分減殺請求権を行使し、相手方との交渉にはいりました。
Aさんたちには、子供の分も含めて1/2の遺留分があり、正当な権利の主張の為か、理不尽な事を極端に好まない性格のせいか、相当強気で相手方と交渉していました。相手方も、数年くらいの愛人関係で、大きな財産を取得できるとも思っていなっかたようで、結局、自宅の土地建物はAさん家族が相続し、預金の一部を相手に渡して決着しました。
もし、相手方が訴訟をおこしてきたらこのような結果にはならなかっただろうと、相当Aさんよりの内容で解決できた事を当事務所もAさんともども喜んでおります。
総括
今回は少し長くなってしましましたが、遺留分については民法に定める条文が少なく、判例、通説によるところが大きいです。従いまして我々相続、遺言の専門家でも非常に慎重にならざるをえないのが現状ですが、今回の件は、Aさんの性格も手伝って早期に良い結果で解決できたと自負しております。
相続、遺言に関しては誰にでも起こり得る複雑な問題を多く含んでおります。少しでも不安になったり、疑問に思う事がありましたら相続、遺言の専門家にご相談下さい。
少しでも早くにご相談していただくことをおすすめいたします。