相続法の改正②(遺言執行者の権限3)

遺言執行者は広く復任することができるようになります。

つまり,他の人に遺言の執行業務を依頼することが,広く認められるようになります。

これは,遺言執行者の業務が,広範囲に及ぶため,難しい法律問題を含む場合や,相続人同士で利害が対立するような場合には,弁護士,司法書士等に依頼して遺言執行してもらう方が,より適切に業務ができると思われる場合があるからです。

遺言執行者に法定代理人に準じた広範な復任権が付与されます。

この規定の適用は令和元年7月1日以降にされた遺言の遺言執行者に限られますので,改正前に作製された遺言に基づく遺言執行者については,適用がありませんので,注意して下さい。

 

【新】(遺言執行者の復任権)
第1016条  遺言執行者は,自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし,遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは,その意思に従う。
2  前項本文の場合において,第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは,遺言執行者は相続人に対してその選任及び監督についての責任のみ負う。

【旧】(遺言執行者の復任権)
第1016条  遺言執行者は,やむを得ない事由がなければ,第三者にその任務を行わせることができない。ただし,遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは,この限りでない。                                      2  遺言執行者が前項ただし書きのきていにより第三者にその任務を行わせる場合には,相続人に対して,第105条に規定する責任を負う。

(任意代理人による復代理人の選任)

第104条  委任による代理人は,本人の許諾を得たとき,又はやむを得ない事由があるときでなければ,復代理人を選任することができない。

(復代理人を選任した代理人の責任)

第105条  代理人は,前条の規定により復代理人を選任したときは,その選任及び監督について,本人に対してその責任を負う。

2  代理人は,本人の指名に従って復代理人を選任したときは,前項の責任を負わない。ただし,その代理人が,復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら,その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは,この限りでない。

(法定代理人による復代理人の選任)

第106条  法定代理人は,自己の責任で復代理人を選任しることができる。この場合において,やむを得ない事由があるときは,前条第1項の責任のみ負う。