家庭裁判所が民法941条1項の規定に基づき財産分離を命ずることができる場合

こんな判例が出ておりました。 平成29年11月28日 最高裁第三小法廷決定 裁判所の判例検索です。
平成29年(許)14号 相続財産の分離に関する処分及び相続財産管理人選任審判に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件

財産分離とは,相続財産(被相続人の財産)と相続人の固有財産とを分離して,相続財産について清算することをいいます。
相続によって,相続財産と相続人の固有財産とが混ざってしまうと,相続財産が債務超過である場合,相続人の財産状態が悪化するので,相続人の債権者が不利益を受ける恐れがあります。逆に,相続人の固有財産が債務超過である場合には,被相続人の債権者が不利益を受ける恐れがあります。そこで,これらの場合に,相続財産と相続人の固有財産とを分離せよという請求ができます。
一般的には,被相続人の債権者(相続債権者)または受遺者の請求による場合を第1種財産分離といい,相続人の債権者の請求による場合を第2種財産分離といいます。

民法(相続債権者又は受遺者の請求による財産分離)
第941条 相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から3箇月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間の満了後も、同様とする。

2 家庭裁判所が前項の請求によって財務分離を命じたときは、その請求をした者は、5日以内に、他の相続債権者及び受遺者に対し、財産分離の命令があったこと及び一定の期間内に配当加入の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2箇月を下ることができない。

3 前項の規定による公告は、官報に掲載してする。