用語集【さ行】

被相続人の債務として相続開始の時に確定しているものは、課税財産から差引くことができます。また、通夜・葬式・火葬・納骨等の葬式費用も、債務控除として課税財産から差引くことができます。

借金等の債務を負う者がその債務を免除または他の者に弁済してもらった場合、これにより受けた利益は贈与を受けたものとみなされ、贈与税の対象となります。ただし、利益を受けた者が資力を喪失して、その債務を弁済することが困難である場合において、債務を免除もしくは扶養義務者により弁済してもらったときは、その弁済が困難である部分については贈与税の対象とはなりません。

贈与者の死亡によって効力が生ずる贈与契約の事です。贈与はあくまでも双方の「契約」ですので、贈与者と受贈者の合意が必要です。

会社の経営を現経営者から次世代の経営者に引継ぐことで、実質的な経営の交替と自社株の移転により実現します。

不在者の生死不明の状態が永続した場合には、不在者を死亡したものとみなし、財産上、身分上の法律関係を確定させる制度です。

普通失踪(7年間不在で生死不明な場合)と、特別失踪(戦地、墜落した飛行機等にいた者でその後1年以上生死が不明な場合)とがあります。

民法で定められた各共同相続人間の相続分を「法定相続分」というのに対して、遺言によって指定された相続分を「指定相続分」という。

被相続人が遺言または第三者への委託によって、相続財産の分割方法を指定すること。この場合は、その指定に従って遺産が分割されます。

自分で、遺言の内容の全文、日付、氏名を書いて、署名の下に印を押をおして作成する遺言書です。遺言の作成自体を秘密にしておくことができ、遺言の中では最も簡便に作成できます。その反面、紛失したり、毀損したり、偽造、変造されたりする危険性があります。

被相続人の死亡により受取った退職金。死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金は、みなし相続財産として相続税の対象となります。相続人が受取った死亡退職金は、死亡保険金と同様に、500万円×法定相続人の数の金額までは非課税となります。

一時金で受取る場合・・・退職金支給総額=相続税評価額

年金方式で受取る場合・・・年金の受取総額に対して一定の割引率を乗じて評価します。

なお、相続人が死亡退職金を受取った場合は、500万円×法定相続人の数の金額までは非課税となり、相続税の課税価格に算入されることはありません。これは、一時金で受取っても年金方式で受取っても同じです。

被相続人が契約者(保険料負担者)・被保険者である生命保険契約により支払われる死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の対象となります。しかし、それを相続人が受取る場合は、死亡退職金と同様、500万円×法定相続人の数により計算された金額までは相続税は非課税となります。

遺言による贈与遺贈)を受ける者。受遺者には、包括的に財産の遺贈を受ける包括受遺者と、特定の財産の遺贈を受ける特定受遺者がいます。

計算に誤りがあったこと等により、相続税の申告書に記載した申告税額が当初よりも増加する場合にする申告のことです。この修正申告には期限はありません。また、修正申告を自主的に行った場合には、本来の相続税と共に延滞税が課されることになります。一方、税務調査等により指摘され修正申告を行った場合には、更に過少申告加算税も課されることとなります。 なお、相続税の申告期限までに遺産分割が成立しなかった場合(未分割の場合)は、法定相続分通りに分割したものと仮定して申告をすることになりますが、その後遺産分割協議が成立して、負担する税額が増加する場合に行う修正申告にも期限はありません。更に、相続税の総額に増減がなく、遺産分割協議が成立したことにより行う修正申告についても期限なく、過少申告加算税や延滞税が課されることはありません。

相続人は、被相続人の亡くなった年分の所得税につき、相続の開始があったことを知った日から4ヶ月を経過した日の前日までに被相続人の死亡当時の住所地の所轄税務署に対して確定申告をしなければなりません。これを準確定申告といいます。相続人が複数いる場合は連名で申告をします。

相続または遺贈により取得した宅地が被相続人等の居住用、事業用、不動産貸付用に供されていた場合、それらの宅地のうち200平方メートル(一定の事業用宅地等は400平方メートル、一定の居住用宅地等は240平方メートル)までについて通常の相続税評価額から一定割合(50%または80%)を減額できる制度です。

民法上、親族とは、①6親等以内の血族、②配偶者、③3親等以内の姻族をいいます。

遺産分割協議が整わないとき、または協議をすることができないときなどに、家庭裁判所が分割の審判をすることをいいます。

相続が開始される前において、被相続人が死亡すればその相続人になるであろう人の事をいいます。相続人になると推定される人。通常は第一次の法定相続人の事をいいます。

相続人等が相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産がある場合は、その贈与財産を相続税の課税価格に加算して相続税を計算します。贈与された財産を相続財産に加算する場合の評価額は、相続時ではなく贈与時の評価額となります。贈与時に贈与税を支払っている場合は、最終的に相続税額から支払済みの贈与税額を差引きます。 相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた者が、相続または遺贈により財産を取得しなかった場合は、生前贈与加算の適用はありません。また、贈与税の配偶者控除の適用を受けた贈与財産については、控除された金額に相当する部分(2000万円まで)は「生前贈与加算」の対象とはなりません。

なお、相続人等が相続時精算課税制度による贈与を被相続人から受けていた場合には、それにより贈与された財産については、全て相続財産に加算して相続税を計算します。

被相続人が保険金支払事由の発生していない生命保険契約の保険料を負担していた場合、この生命保険契約は被相続人の相続財産となる。 相続財産としての相続税評価額は、原則として相続開始時におけるその生命保険契約の解約返戻金相当額となる。

相次いで相続が発生した場合には、同一の財産について立て続けに何回も相続税を課税されることになり、納税者の負担が重くなります。そこで、10年以内に2回以上の相続が発生し相続税が課せられた場合には、前回の相続時に課せられた相続税額のうちの一定額を、後の相続時に課せられる相続税額から控除することができます。この控除は、その相続人に限り適用が受けられるものであります。

人が死亡して、その相続人に死亡者(被相続人)の有していたプラスとマイナスに関する一切の権利義務、及び財産が承継される事をいいます。

真正の相続人が、相続権を侵害された場合、相続財産を取り戻すことができる権利。相続権を侵害された事実を知った時から5年、相続開始の時から20年経過すれば時効により消滅します。

相続に関して、不正な利益を得るために不法な行為をした者又はしようとした者は、何ら手続きを必要とせず、相続権を喪失する事をいいます。主な欠格事由は次の通り。

  1. 故意に被相続人、または相続に関して先順位もしくは同順位にある者を死亡させ、または死亡させようとしたために、刑に処せられた者
  2. 被相続人が殺害されたことを知りながらこれを告発せず、または告訴しなかった者。
  3. 被相続人の遺言の行為を不正に妨害した者(詐欺、脅迫、偽造・変造・破棄・隠匿等)

相続が開始したことによって相続人に承継される財産の事をいいます。不動産や預貯金といったプラスの財産や借金といったマイナスの財産だけではなく、被相続人が生前に売買契約を結んでいた場合の売主たる地位や買主たる地位も含め、財産に関する法律上の地位の全てをいいます。

家庭裁判所から選任され、相続人のあることが明らかでない相続財産の管理を行う者の事です。

相続財産管理人は「相続人のあることが明らかでないとき」に選任されますが、これは相続人が単に生死不明・行方不明の状態を指すものではなく、例えば戸籍の記載上は相続人が一人も居ないように見えるような状態などを指します。また、相続人が全員相続放棄をしてしまった場合には、相続放棄者は初めから相続人でなかった事になりますので、やはり相続人があることがあきらかでない場合になり、相続財産管理人の選任が必要になります。

民法は相続人がのあることが明らかでないときは、相続財産それ自体を法人とします。

この相続財産法人に、相続財産管理人を置いて、相続財産の管理と清算及び相続人捜索を行わせます。相続債権者および受遺者は、相続人がいない場合は、利害関係人として家庭裁判所に対して相続財産法人につき相続財産管理人の選任を請求できます。これを受けて家庭裁判所は、相続財産管理人を選任し選任の公告をする。相続財産管理人は、一定の期間内に相続人を捜索した上で、相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続債権者等に対し、債権申出催告の公告をし、相続債権者等に対して弁済します。

生前贈与の円滑化を図り、次世代に資産を贈与して、その資産の有効活用により経済の活性化を図る観点からから創設されました、贈与税と相続税を一体とした納税制度です。 例えば、65歳以上の親から20歳以上の子に生前贈与する場合においては、2,500万円まで贈与税は課税を繰り延べられますが、その後、親が死亡したときに相続財産と合算されて相続税が課税されます。

相続により取得した財産を、相続開始の翌日から相続税申告期限の翌日以降3年以内に売却した場合には、譲渡所得の特例(相続税取得費加算の特例)を受けることができます。これは、所得税住民税の特例で、その人の相続税額の一部を売却利益の計算上取得費とみなすものです。

相続税は申告納税方式であるため、相続税の申告書の提出義務があるかどうかは納税者自身が判断し、申告が必要な場合には、相続があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告書を提出しなければなりません。 申告書を提出しなければならないのは、課税価格が基礎控除額を超える場合、つまり相続税が課税される場合です。 しかし、相続税が課税されない場合であっても、次のような場合は特例の適用を受けるために申告が必要となります。

  1. 小規模宅地等の評価減の特例」の適用を受けた結果、相続税が課税されなかった場合
  2. 配偶者の税額軽減の特例」の適用を受けた結果、相続税が課税されなかった場合

課税遺産総額にかかる相続人全員の相続税の合計額のこと。具体的には、相続税の総額は、課税遺産総額を法定相続人法定相続分通りに相続したと仮定して各相続人が取得することとなる財産額を計算し、それぞれの財産額に対して相続税の累進税率を乗じて求めた税額を合計して算出します。つまり、相続税の総額は遺産分割が行われた否かにかかわらず、法定相続分通りに相続したものとして計算する仕組みとなっています。

財産を相続する能力は、原則として、外国人も含めた全ての自然人が有するものとされています。相続開始時点で胎児であった者も、既に生まれたものとみなされて、相続能力が認められています。

相続財産についてプラスの財産もマイナスの財産も一切引継がないとする意思表示。

相続放棄をした者は初めから相続人でなかった者となり、その者の子などが代襲相続することなどはできません。相続放棄は単独で行うことができ、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して相続放棄をする旨の申述をして行います。

当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に譲渡する契約。単純贈与、定期贈与、負担付贈与、死因贈与などがあります。

贈与により財産を取得した場合に、財産を取得した人に課せられる税金。

例えば、親が生前に全ての財産を子供に贈与してしまえば、亡くなった時に相続税を払わなくて済みますが、これでは相続税の意味がなくなるため、相続税を補完する目的から贈与税が課税されます。ただし、1年間に贈与を受けた財産が110万円以下であれば贈与税の課税はされません。

婚姻期間20年以上の配偶者から居住用不動産またはその購入資金の贈与を受けた場合に、基礎控除110万円とは別に2,000万円の控除の適用を受けることができる制度。