内縁関係⑤ 突然愛人とその子供が訪ねてきて・・・
ご相談内容
大阪在住のAさんが事務所に来られて相談を受けました。
ご主人が亡くなられて、相続人はAさんと子供2人です。相続財産は自宅と預貯金でした。
Aさん家族は子供の学校の関係がある為、ご主人は単身赴任で長年別居が続いていたそうです。
ご主人が亡くなられてからしばらくしたある日、突然Xさんという女性とその子供が自宅に訪ねてきたそうで、話を聞いてみると、そのXさんはAさんのご主人の単身赴任先での愛人で、子供はご主人の子という事らしいです。子供の戸籍謄本も持ってきており、Aさんのご主人は子供を認知していました。
Aさんはその話を聞き終えると卒倒しそうになったそうです。
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- この場合の相続関係を説明して下さい。
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Aさん家族に相続権がある事は間違いありません。
愛人には相続権はありません。
愛人の子供はご主人に認知されていますので非嫡出ということになり、相続権はあります。具体的相続分
Aさんの相続分は遺産総額の 3/6(1/2)
Aさんの子供2人はそれぞれ 1/6
愛人の子供は 1/6
となります。(非嫡出子の相続分は嫡出子の1/2となっている法律については、平成25年9月4日に最高裁で違憲決定が出ておりますので、嫡出子と同じ相続分で計算しております。)
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- 嫡出子と非嫡出子について説明して下さい。
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嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子をいいます。
非嫡出子とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子をいいます。
そして、非嫡出子の場合、父親の認知によって父親に対する相続権が発生します。
愛人がAさんに言うには、この子供にもご主人の相続分があるからその相続分をもらいたい。そして、この子は未成年者だから親権者である愛人がこの子を代理して遺産分割協議をするとのことでした。
Aさん自身は大切なご主人が亡くなって気分が滅入っているときに突然ご主人の愛人が現れて、おまけに子供までいて、非常につらい思いをしているのに加えて相続について愛人に言いたい事を言われて“ふんだりけったり”の状態になってしまいました。何か良い方法は無いものかと言われたのですが、相続についてはどうする事もできない事を説明しました。遺産分割についてどうしても納得できなければ、遺産分割の調停、審判へと進む道もある事を説明し、今後の対応について相談しました。
幸いご主人は多くの預貯金を遺しており、また愛人も金銭で解決できたらと思っていたらしく、結局Aさんは遺産分割協議で預貯金の一部を渡し決着をつけました。
総括
遺産相続の場面では、思いもよらない事が起こり得るものです。
今回のAさんも話を聞いた当初は信じられず、本当に卒倒しそうになったそうです。
しかし、こんな時でも冷静に対応し、とにかく事実関係を確認して、専門家に相談することが大切です。そうする事で、気分的にも少し楽になりますし、解決の糸口を見出す事ができるものです。
どんな場面でも、冷静に考え、相続、遺言の専門家に相談して意見を聞くことをおすすめいたします。