内縁関係① 私は相続できないの・・・

ご相談内容

大阪在住のAさんが事務所に来られて相談を受けました。

内容は、ご主人のXさんが亡くなられたそうですが、AさんとXさんは15年以上前から、事実上の夫婦として一緒に暮らしてきたそうです。

二人とも、結婚、入籍という形式的なことにはこだわらず、事実上の夫婦として生活することに同意していたそうです。いわゆる内縁関係となりますが、親や兄弟もみなさん内縁関係について承諾していたそうです。

  1. 内縁関係とはどういう関係をいいますか?
    内縁関係とは、婚姻意思をもって共同生活を行い、社会的には夫婦と認められているにもかかわらず、法律の規定する婚姻届を出していないために、法律的には夫婦と認められない男女の関係をいいます。
  2. 内縁関係の事実上、法律上の影響とか効果について説明して下さい。
    内縁関係では、基本的には共同生活上の存在を前提とすることには認められますが、戸籍に関する事や、特に相続については認められていません。

    内縁関係で認められると思われるもの
    ・同居や協力、扶助義務、貞操義務
    ・婚姻費用の分担義務
    ・日常家事債務の連帯責任
    ・生命侵害を受けた者の内縁配偶者の損害賠償請求権 など

    内縁関係で認められないもの
    ・戸籍、氏、成年擬制
    ・相続権
    ・内縁関係の間に出生した子供は非嫡出子となる など

実はAさんXさんの間には子供が1人いて、この子供はXさんに認知されているそうです。

相続財産は自宅の不動産と預貯金だそうですが、Aさんがこの自宅と預貯金を相続したいという事で、当事務所に来られたのですが、内縁関係についての説明を行い、内縁関係の相続関係についても説明しました。Xさんの遺言書の有無についても確認しましたが、書いていないという事で、Xさんに対するAさんの相続できる財産は無くなってしまいました。

内縁関係の相続については全く知らなかったAさんはビックリしておられましたが、幸いXさんが認知したAさんの子供がおられましたので、相続財産はこの子供が相続することになる旨を説明し納得されました。

  1. 認知について教えて下さい。
    父が子を自分の子として承認する意思表示のことで、父が進んでこの意思表示を行う事を任意認知といい、父の意思に反してでも裁判で父子関係を確定させる場合を強制認知といいます。

    婚姻関係のない男女の間に生まれた子を非嫡出子といいますが、法律的には、非嫡出子の親子関係は認知によって発生します。したがって、父親に認知されない限り、非嫡出子は父親がいないことになります。母親とは、出産という事実によって母子関係が発生します。

総括

最近では、夫婦同氏にとらわれない、入籍等の形式にはとらわれない自由な形式の事実婚関係、内縁関係が増えてきています。

しかし、内縁関係でも法律上認められることが多くなってきたとはいえ、まだまだ法律上では認められない事が多いものです。特に、相続権、遺産相続に関しては認められておらず、つらい想いをされることが多いです。

そんな場合でも、遺言書を書いておけばまだお互いの遺産を相続できる場合もあります。

内縁関係にある方や内縁関係であるために、相続問題に巻き込まれてしまった方はできるだけ早くに相続遺言の専門家にご相談下さい。