未成年者の子供と遺産分割協議をしたいのですが・・・
ご相談内容
大阪在住のAさんから連絡を受け、ご自宅を訪問いたしました。
ご相談内容はご自宅をAさん名義にしてほしいとのことでした。また、住宅ローンは返済したから抵当権を抹消してほしいということでした。
Aさんにお話しをお聞きしますと、Aさんのご主人はご病気で昨年亡くなられたそうです。
相続人はAさんと長男X君(7歳)及び次男Y君(3歳)です。ご自宅をAさん名義にするには、AさんX君Y君で遺産分割協議をする必要がある事を説明しました。
そして、親権者と未成年者の子供と遺産分割協議をするには特別代理人を選任しなければならない事も説明しました。
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- 親権者と未成年者の子供との遺産分割協議についてもう少し教えて下さい。
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親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は特別代理人を家庭裁判所に請求しなければなりません。(民法第826条)
そして、遺産分割の協議は親権を行う者とその子との間において利益が相反する行為とされております。
■親権者とその子との利益相反行為となる例
①子の財産を親権者に譲渡する事
②親権者が自己の利益の為に子の財産を処分すること
③親権者の債務に対する子の保証、担保の提供 等々・・・
■親権者とその子との利益相反行為とならない例
①親権者の財産を子に贈与すること
②親権者と子が共同して会社を設立する行為
③子の債務を担保する為、子の財産に担保設定する事 等々・・・
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- 本件の場合は具体的にはどうすればよいですか?
- Aさんが子の住所地の家庭裁判所にX君について1人、Y君について1人の特別代理人選任申し立てを行います。そして、AさんとX君の特別代理人とY君の特別代理人とで遺産分割協議を行います。この場合、各特別代理人はX君、Y君に対し、公正な立場に立った遺産分割協議を行わなければなりません。
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- もし、親権者と子の利益相反行為になるのに、違反して親権者がその行為を行ってしまったらどうなるのですか?
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少し難しいですが、判例によりますと、次の説があります。
①無効説
その行為は全く無効
②取消行為説
未成年者がその行為を取り消すことができる。
取り消さない限り有効
③無権代理行為説
未成年者が成年に達した後その行為を追認した時は完全に有効
それぞれの説がありますが、現実には特別代理人を選任しなければ当該行為、例えば遺産分割協議後の登記申請や、担保権の設定登記申請はできない事になっております。
本件では、特別代理人との遺産分割もスムーズに行い、無事登記を完了いたしました。
総括
本件でもそうですが、登記申請や未成年者の子の身分関係については、家庭裁判所での手続きや許可等が必要になる場合が多々ある事を実感しております。
法令等は膨大な数であり、多岐にわたりますが、迷ったり、気になることがございましたら専門家にご相談下さい