不動産の事について相談したいのですが・・・
ご相談内容
大阪で会社をされているAさんからご連絡をいただき、会社へご訪問させていただきました。
相談内容は、不動産の名義を変えたいとのことです。現在の権利関係は、土地建物ともAさんが所有者で、会社が使用しています。
Aさんは80歳でそろそろ相続の事も考えて処理していきたいとの事です。
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- 本件ではどのような事が問題になりますか?
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不動産の名義を変えるだけでも色々な事が影響します。
①登記の原因
売買するのか、贈与するのか。
②売買の場合
会社と取締役との売買は利益相反行為となり、株主総会決議が必要。
③定款の確認
株主総会の開催及び決議の為の手続き要件の確認。
④賃貸借契約の確認
土地建物の賃借権の内容の確認。
⑤不動産の評価
土地建物の評価の仕方及び賃借権の評価の仕方。
⑥将来の会社の運営
事業承継の事 等々
不動産の名義を変えるのは、手続的にはそれほど難しい事ではございませんが、本件では上記のような事がすぐに思い当たります。又、本件をご家族、特に推定相続人の方が了解しているのかどうか、そこが大切ななところであり、難しいところです。
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- 推定相続人の方の了解についてもう少し教えて下さい。
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現在相続が開始した場合、相続人となるべき人の事を推定相続人と言いますが、Aさんは80歳と高齢であり、近い将来に相続が開始する事が考えられます。
もちろんAさんの資産ですから、Aさんの意思で処分してもらってかまいません。しかし、もともと何も資産が無い人が亡くなって相続財産が無い場合は良しとして、ある程度の資産がある人が、生前に全ての資産を処分してしまって、相続財産がなくなってしまった場合では、相続人への影響が大きすぎます。このような場合当事務所では、予め推定相続人の方の意見も確認します。場合によっては、相続財産及び税金についてのシュミレーションも行います。(もちろん専門税理士も参加します)
本件でも、Aさんに上記内容の事を説明したところ、相続財産及び税金についてのシュミレーションをしてほしい旨のご希望がありました。
Aさんは他にも不動産をお持ちで、金銭的にも余裕があり、結局本件では会社とAさんで売買する事になりました。もちろん推定相続人の方も了解済です。
当事務所とのやりとりのなかで、Aさんは近い将来の為に、相続人のことを考えて遺言書を作成されました。
総括
本件のように、高齢者の方が不動産等の財産を処分される場合は注意が必要です。
単なる財産の処分だけに留まらず、近い将来の相続財産としての財産の処分となってしまうからです。又、Aさんのように会社を経営されている方は、会社(法人)としてのAさん、個人としてのAさんの立場があり、また財産関係が生じます。事業承継の問題も社会的に大きな問題になりつつあります。
当事務所では相続の問題についてあらゆる角度からアプローチして最善の策にたどり着けるように努力いたします。