子供の事について相談したいのですが・・・

ご相談内容

大阪に在住のAさんが事務所にこられ、子供のことについて相談があるとのことです。

Aさんはキャリアウーマンとしてバリバリと仕事をされていたそうですが、一方では恋愛もされて結婚をされたそうです。いや、結婚式も行い、結婚披露宴も開催し、新婚旅も行ったそうです。

そして、新居でご主人との新婚生活が始まったそうですが、いわゆる入籍、婚姻届は出さなかったそうです。

Aさんはキャリアウーマンで婚姻により名前が変わることは仕事上に支障があったみたいで、入籍届はしなかったそうです。ご主人も形式にはそれほどこだわりは無かったようで、法律上は内縁関係で生活をされていました。

Aさん夫婦に子供が授かった事がわかったのと同時ぐらいにご主人が転勤となり、単身赴任をされたそうです。このままでは生まれてくる子供は非嫡出子となってしまうので、そろそろ入籍しようと考えていた時に、ご主人は交通事故で亡くなってしまったそうです。

  1. 嫡出子、非嫡出子について教えて下さい。
    嫡出子とは、婚姻関係にある男女の間に生まれた子供です。非嫡出子とは婚姻関係にない男女の間に生まれた子供です。妻が婚姻中に懐胎した子供は夫の子と推定します。(嫡出の推定)婚姻の成立から200日経過後又は離婚後300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定します。

Aさんの子供は非嫡出子です。Aさんと子供の親子関係は分娩の事実により当然に発生します。そして、Aさんの戸籍に入ります。しかし、子供の父親はだれかわかりません。

Aさんの願いは、子供と主人の関係をはっきりさせてやってほしいということでしたので、認知の制度を説明しました。そして、Aさんの場合はご主人が亡くなっていますので強制認知(認知の訴え)となります。

  1. 強制認知について教えて下さい。
    父が自発的な意思によって任意認知をしない場合には、父の意思に反してでも認知の訴えにより法律上の父子関係を生じさせることができる。このことを強制認知と言います。

もともとAさんは事実上婚姻しており、ただ入籍していなかっただけなので、認知はすんなりと認められました。

これが数年前の話ですが、またAさんが来られて、今度再婚しようと考えているが、子供の氏はどうなるのか?できれば今の氏のままでいさせてやりたいと思うのですがということです。

  1. 本件はどうなるのでしょうか?
    Aさんが婚姻しても当然には子供の氏はかわりません。これは戸籍との関係もあります。現在の戸籍関係は、Aさんの戸籍に子供も入っています。今度Aさんが婚姻すればAさんは夫の戸籍に入り夫の氏を称することになりますが、子供は夫の戸籍に入りません。夫と子供とは血縁関係がないからです。夫と子供が養子縁組をすれば、子供は夫の戸籍にはいり、氏も夫の氏となります。養子縁組をしない場合、子供は夫の戸籍に入らないので、Aさんの氏と子供の氏が変わってしまいます。そこで、家庭裁判所の許可を得て、現在の氏を称することになります。

結局Aさんは婚姻後、裁判所の許可を得て子供の氏はかわらないようにしました。

総括

今回の相談事例は遺産相続・遺言から少し離れてみましたが、人の死亡によって遺産相続の問題だけでなくその他にも問題が起こるケースだと思いました。

また、特には触れませんでしたが、嫡出子、非嫡出子には法律上相続分に差があり数年来問題になっています。それぞれに主張したい言い分があると思われますが、難しい問題だと思います。