不動産、生命保険金・・・私の相続分は結局どのくらい?

ご相談内容

「相続について相談が・・・」

Aさんが相続について相談に来られました。

話を聞いていると、

不動産の価格はいくらなのか?
生命保険金は受取人以外の者はもらえないのか?
Aさんの相続分はどれぐらいなのか?

等という内容です。

  1. 相続財産の評価時期っていつですか?
    具体的相続分を計算する為の評価時期:相続開始時
    具体的相続分に応じて現実に遺産分割を行う場合の評価時期:実際に分割する時
    とするのが判例、通説となっております。
  2. 不動産の評価はどのように行うのか?
    最も望ましいのは不動産鑑定を行うのが公平です。しかし、実務では、路線価、地価公示価格、固定資産評価額、不動産屋さんの査定額を勘案して、相続人全員で決められている場合が多いようです。
  3. 亡くなった人を被保険者とする生命保険金は誰のもの?
    保険金受取人が特定の相続人に指定されている場合は、保険金受取人が自己固有の権利として保険金を受け取ることができます。

Aさんの相談に対して、不動産の評価の事、生命保険金の事、Aさんの相続分等について説明し、納得していただいて本日の相談は終了しました。

第2回目の相談です。

今度はお兄さんのBさんも同席しました。前回Aさんに説明した内容をもう一度Bさんにも説明しました。

すると今度はBさん曰く、「私はずっと親の面倒を見てきた。それこそ痴呆症を発症してからでも自宅で共に生活し、会社も退職して介護に努めた。このことはどう評価するのか?」

  1. 寄与分って聞いたことがあるのですけれど、どういう内容ですか?
    相続財産の維持や増加に特別の貢献があった場合、共同相続人間の実質的公平を図る為、相続財産の一定割合又は金額を相続財産から控除して、これを相続分とともに受け取る制度をいいます。

Bさんは親の療養看護に努め、親の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたと言いたいみたいです。

しかし、Aさん曰く「その分は親の通帳から引き出して使っていたではないか。」

Bさん曰く「それは、親の療養看護に使っていたので、自分の為には使っていない。」

Aさん曰く「仕事もしていないのにどうして新車を買ったりできるのか?」

この後もAさん、Bさんのやり取りが続いて収拾がつかない状態になりつつありました。

  1. 相続人同士で遺産分割協議がどうしてもまとまらない場合はどうなるのですか?
    この場合はもう相続人のみではどうすることもできません。まず家庭裁判所の方に遺産分割の調停を申し立てます。それでも話がまとまらない場合は遺産分割の審判、その次は遺産分割訴訟という流れになってしまいます。訴訟までいくと、相当な年月がかかり相続人全員が精神的にも肉体的にも疲れてしまう場合が多いようです。

Aさん、Bさんのやり取りを聞きながら、合間、合間に相続財産の評価の仕方や、寄与分について、具体的相続分の分け方や考え方を説明いたしました。

第3回目の相談です。

今回はAさん(弟)、Bさん(兄)、Cさん(Aさんの嫁さん)が一同に集まりました。

話は具体的相続分の分け方について集中し、前回の話の繰り返しで、そこにCさんが加わり益々収拾がつかなくなりつつありました。

そこでBさんが、次回はBさんの嫁さんも連れて来ると言い出し、さらにBさんの考え方に賛同しているおじさんも連れて来ると言い出しました。

それを聞いたCさんが「なぜ今回Bさんの嫁さんとおじさんを連れてこなかったのか?」と怒り出し、事態はまさに、一触触発状態になりました。

同じ事の繰り返しになりますが、もう一度、具体的相続財産について、相続分について、相続財産の評価について、寄与分について、相続分についての考え方等を説明し、少しの冷却期間を持って次回に話し合いをする事を決めました。

第4回目の相談です。

今回もAさん、Bさん、Cさんが出席しての話し合いです。

私が前回までの話でまとまっているところを確認しながら、もう一度具体的相続分についての説明をいたしました。

やはり、AさんCさん対Bさんのやり取りに終始し、前回に引き続き一触触発状態のまま話は合いは延々と続きましたが、次第に自分の主張ばかりせず、相手の言い分も聞くようになり、最後は精神的にも又は肉体的にも疲れたのか5時間続いた話し合いは、お互いが歩みよって終結を迎えました。

その後の相続手続きについてはスムーズに進み完了いたしました。

総括

後で聞いた話ですが、AさんCさん対Bさんの間で、相続が開始してから相当なやり取りがあったそうです。

何回も合って話し合いをし、昼夜を問わず電話でも話をしたがまとまらず、ついにBさんが電話に出なかったり、話をしなくなってしまったそうです。

相続が開始してから相談に来たのが2年後ですから2年間相当なやり取りがあり疲れてしまってからの相談でした。

最終的にはやはり血のつながった兄弟です。

また、第3者である相続の専門家が間に入って客観的事実や基本的は相続分の分け方などを聞いたことにより、円満に遺産相続が出来たと自負しております。