預貯金は遺産分割の対象財産になるか?

こんな判例がでております。平成27年(許)第11号 遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する 許可抗告事件
平成28年12月19日 大法廷決定
共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となるものと解するのが相当である。
裁判所のホームページ判例検索画面を付けておきます。裁判所 判例検索

どうしてこの判例が重要かと申しますと,判例変更だからです。

実務上でも相続人が望んだ場合には,普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は遺産分割の対象財産に含めていました。
しかし,過去に次のような判例が出されており,法律上,判例上では遺産分割の対象とはなっておりませんでした。

「相続人数人ある場合においてその相続財産中に金銭その他の可分債権があるときは,その債権は法律上当然に分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解するのを相当とする。」最判昭和29年4月8日
「相続財産中に金銭その他の可分債権があるときは,その債権は法律上当然分割され,各相続人がその相続分に応じて権利を承継する。」最判昭和30年5月31日

今回の判例変更につきましては,機会をみて詳しく書きたいと思います。