相続法の改正②(遺言執行者の権限)

遺言執行者の権限が明確化され,相続人に対して遺言の内容を通知しなければならなくなります。

また,受遺者による遺贈の履行請求の相手方は遺言執行者がある場合には,遺言執行者に限られることになり,改正前の民法1015条の「遺言執行者は,相続人の代理人とみなす。」という規定は削除されます。

この改正は,令和元年7月1日から施行されます。

令和元年7月1日以降に遺言執行者に就職した場合には,施行日以前に開始した相続についても,改正法の適用があり,相続人に対しての通知義務が発生しますので注意して下さい。

 

 

【新】(遺言執行者の任務の開始)
第1007条   遺言執行者が就職を承諾したときは,直ちにその任務を行わなければならない。
2  遺言執行者は,その任務開始したときは,遅滞なく,遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

【旧】(遺言執行者の任務の開始)
第968条 同上につき省略

 

【新】(遺言執行者の権利義務)
第1012条   遺言執行者は,遺言の内容を実現するため,相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

2  遺言執行者がある場合には,遺言の履行は,遺言執行者のみが行うことができる。

3  第644条から第647条まで及び第650条の規定は,遺言執行者について準用する。

【旧】(遺言執行者の権利義務)
第1012条   遺言執行者は,相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

2  第644条から第647条まで及び第650条の規定は,遺言執行者について準用する。

 

【新】(遺言執行者の行為の効果)
第1015条   遺言執行者がその権限内において遺言執行者遺言執行者であることを示してした行為は,相続人に対して直接にその効力を生ずる。

【旧】(遺言執行者の地位)
第1015条   遺言執行者は,相続人の代理人とみなす。